林下の沢沿い/湿地夏緑多年草
別名 | ツルハコベ(蔓繁縷) | |
分布 | 本州/四国/九州 | |
花期 | 5〜7月 | |
環境省RDB | 記載なし | |
千葉県評価 | 一般保護(D) | |
詳細分類 | ||
異説など | ||
掲載図鑑 | ||
千葉県植物誌 | 155/173/973 | |
日本の野生植物 草本2 |
37 | |
日本の野草 | 519 | |
山に咲く花 | 351 | |
これほど同定に苦労した花も珍しい。在来種なのに。この個体の葉は三角状卵形と言うことになるのか? 2004/06/12 埼玉県 |
植物の同定ほど神経を使うものはない。現地での詳細観察は不可欠だが、写真を撮影する際もなるべく多くのパーツを撮るよう心がける。この花は見た瞬間サワハコベであることはすぐ分かった。が、自宅に戻って千葉県植物誌をひもとくと「葉の形は菱形から三角形/萼の縁に白膜はない」と書いてある。当初撮影した株は花柱が4本あり、変異の範疇と考えていたのだが葉は明らかな心形。萼に白い縁取りもあり、これだけ特徴が違うと別種と考えざるを得ない。仕方なく掲示板に尋ね花を出し、さらに手持ちの資料で調査を続けるもののなかなか分からず、図書館で日本の野生植物を閲覧してようやく正体が判明した。掲載された写真がそっくりなのである。さらに「花弁の中心に毛がある、全草無毛で葉の縁に伏毛」などの特徴も一致しここではじめて同定に至った。ただ、この中でも葉の形は「三角状卵形または卵形」となっており心形の文字は一言もない。掲載の写真が心形なのにもかかわらず。
図鑑等の記載が間違いではないが本により葉の形の記載が違い、葉の形の変異は大きいと考えられる。すなわち菱形〜心形まで。たまにこういうこともあるので、調べるときに十分注意が必要だ。中には記載間違いもあるかもしれない。調査の際には複数の資料を比較検討することが重要である。
このサワハコベはハコベ類の中でも遅咲きの部類に入り、咲き始めも6月ぐらいからである。小さな花だが、詳細観察すればかなりの発見があり面白い花だ。
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